最新の科学であきらかになりましたが、私たち人間の基本的な『性格』は、子宮の中にいる間と誕生後、最初の6年間の幼少期の間に、両親(特にお母様との関係)または養育者との関係により、90%が形成されると指摘されています。また、『人格』の土台形成は、3歳くらいまでに起因されるといわれています。
体内環境と出生直後の状況が赤ちゃんの人格形成に与える影響に関する世界的権威である、トーマス・バーニー。医学博士によると、【心理学者の多くも、つい最近まで、子どもが3歳までに体験したことが知性や情緒や脳の構造に大きな影響を与えているとは考えていなかった。しかし、神経科学の最新の発見を見れば、こうした考えが明らかな誤りであることが分かる。・・・生前および周産期(妊娠後期から新生児初期まで)という決定的な時期の体験では、脳の構造そのものを決めてしまう。私たちの脳と、そして、脳の産物である私たちの人格は、生まれ持った遺伝子とその後の体験が複雑に作用し合い、形つくられていく。】と述べています。
子育ては親育て

よって、幼少期の親子関係が、その後の子どもの人格や性格などへの影響がきわめて大きいことが伺えることを考えますと、子育ては、とても大切な重要性を感じます。「子育ては親育て」とは、よく言ったもので、子育てをしているようで、実はしっかりと私たちオトナが親として成長するための教育訓練をされているような感じもしますね。
そして、子育てが過ぎてしまったから今からでは遅いと思ったあなた、大丈夫です。心理療法で変わることが証明されています。心理にアプローチする方法は10年前に比べてずいぶん変わり当時、常識だったことは、今では非常識になっていたりもします。では、どうして子どもが問題行動と呼ばれるような行動をしてしまうのか、心理の面からまずは、ひも解いていきましょう。
子どもが幼少期に親御さん、特にお母様であるあなたから、『愛された子』と『愛されなかった子』に大きくわかれます。大切なお時間を割いてこちらにお越しくださったあなたは、当然、お子さんを愛しておられると思いますので、今回は、『愛された』ということを前提にお伝えしますが、ただその愛され方にも大きく2つのパターンにわかれます。
無条件の愛
まず1つめが、『あるがままに充分に愛された子』です。あるがままなので「お母様の深い愛情=無条件の愛」に包まれた状態の人です。無条件の愛ですから、ありのままの・・・存在そのものを受け入れ愛することになります。生まれたての赤ちゃんが何かをしてくれるから世話をして可愛がるわけではないあの感覚です。
そこにいるだけで可愛くてたまらず世話をしたくなるような…生まれてきてくれてありがとう♡あなたがあなたのままでいるだけで嬉しくてドキドキワクワク、ALL OK だよ…という感覚のことであり、「愛する」という行為に対して、条件をつけない、見返りを求めない愛と言うことです。そして、現象面だけをみて一方的に注意や指摘をするのではなく、きちんと子どもの話を聴いて見て触れる接し方をして、悪い行動だけをただし、子どもの気持ちを受け止める愛情表現のことでもあります。
自信とは?
そして、無条件の愛に包まれた状態になると、どんなことがあっても最後には安心感を得ることができるため、自分は自分で良いと思い、私は私のままで素晴らしい価値ある存在であると自分自身で認めることができます。本来、『自信』というのは、こういう事を言うのです。「揺るぎない自信=私は私のままで素晴らしい」ことです。
ですが、多くの方は、他人との比較で優越するのが『自信』だと思っています。ですが実は、他人に優越を示そうとする子どもは、いじめられる側にまわる可能性がでてきます。いじめっ子の劣等感を刺激して妬まれてしまうからです。自分は自分のままでいいんだ、ありのままでいいんだ、自分は、すばらしい存在なんだと思えているのが『自信』です。揺るぎない自信は、他人との比較ではありません。なぜなら、自分より優秀な人が現れたら、一発で自信が砕かれてしまいます。そういう自信は、自信とは言いません。
条件付きの愛
そしてもう1つ目が、『ある条件をみたしたら愛される子』です。これは、条件付きの愛になります。「○○しなければ愛さない」「○○すれば愛してあげる」などの○○が条件になります。
生物学的なお話にもなりますが、人間も動物も、子どもは、親御さんから愛されなくなったら、生命の危機に陥ることになることを本能的に知っています。なので、何としても、あなたから愛されたくて、見捨てられないように一生懸命にがんばります。そして例えば、学校のテストで、いい点数を取った時に親から褒められて、愛されたんだと感じた場合、条件付き内容として受け取った子どもは、「テストでいい点数を取ったから愛された、点数が悪くなったら愛してもらえない」と、勘違いしてしまうのです。すると何が起きると思いますか?
テストで毎回いい点数を取っていたとしても、テストの成績が良かったから自分は愛されたんだ、成績が悪くなったり、成績の悪い人は愛される価値はないと思ってしまうのです。すると多くの場合、こういった子どもたちは、妙なプライドを持ち、学校の偏差値や成績で人を判断してしまう傾向におちいります。私はトップの成績だから、○○学校出身だから、○○大学を卒業したから~みたいな感じです。こういう感覚を持ったまま成長して、社会に出たとき、周りからは愛されないどころか物凄い試練が、子どもたちに対して待ち受けています。
次に、テストの点で、いい点数が取れなかった場合、考えることはカンニングをしてしまいます。そして、カンニングが成功した場合は、その後ずっと不正行為状態化が続きます。その後は、人生で何をやっても勝ち取ったものが勝ちみたいな、何事も強い者や最終的に勝ったものが正義とされるような、勝てば官軍です。そういう状態に陥ってしまう子どもさんが多くなります。
逆に、カンニングが失敗した場合は、成績で愛されることを諦め、成績ではないところでその力を発揮します。親御さんであるあなたの関心を引きたいがために、お友達をいじめたり仲間はずれをしてみたり、ひきこもりや不登校になったりします。なかには、親御さんに好かれて愛されたいがために、子どもさん自身の本来、自然に湧き上がってくる感情や自分の心の声をグッと抑え込み蓋をしてしまう癖を持ち、家族の顔色を見て周囲を気遣い、大人の機嫌を取る役割を担ったり、笑顔で親御さんのいうことを素直に聞きはじめる『いい子』を演じます。
あなたから選んでもらいたくて、あなたの気持ちを考えて、さもそれが、子どもさん自身の気持ちであるかのように感じ取り自分を偽り言うことを聞きいれ、あなたの期待に応えようと自己犠牲の精神で我慢してしまうのです。そのような子どもさんの行動を見たとき、あなたはどう感じますか?子どもさんが、あなたの望むようなことをしてくれて気分が良かったり、望んでいるであろうことを先回りしてやってくれて、あなたの思い通りに動かせれる、とてもいい子だと思ってはいませんか?『いい子』は、あなたの心理的な無意識の中では、「都合のいい子」として取り扱っています。
ですが、『いい子』を演じているうちに、この思考癖が無意識に、子どもさん自身でもわからないくらいに我慢強く麻痺するほどに抑圧し続けてしまい、最後に爆発してしまうのです。本来の自分を殺して生きているということに気付かないことがほとんどです。仮に気付いたとしても、あなたからの養育庇護のもと、自分を殺して生きなければならないという強い刷り込みの思考パターンが既にできてしまっているため、あなたの笑顔が見たくて優等生タイプを演じてしまうのです。
こういう行動をしたあとの笑顔のときは、子どもの心理的な裏意識を見抜き、秘めていることは正反対であるということに、あなたが気付いてあげてください。
行動の裏には必ず理由がある
『いい子』を演じていたとしても、それでも親御さんから愛されなかった場合、次は親御さんから愛されることを諦めます。そして、1番身近にいる人から愛を勝ち取ろうとします。おそらく身近だと普段一緒にいるお友達の中で目立つ行為や行動をしはじめます。
不安と悲しみを埋めるために、タバコを吸ってみたり、派手な服装になったりと、異常に見かけに執着したりするようになります。お友達の中だけではなく、もっと強い先生に歯向かうこともあり、権力に立ち向かう自分って、カッコいいだろうと思わせるために、よりお友達の中で目立つ行為を演じ始めます。それよりも大きくなると国家権力、警察に歯向かう行動を起こす子どもになっていきます。
まとめ
子どもさんの行動に対して、イライラ怒ったり、戸惑ったり、なんてことしてるの!!と思ったとき、必ずそこには理由が隠されています。この理由を見ずして、何が家庭教育だといえるのでしょうか。起きた現象面だけを見て判断するのではなく、そこに至るまでの心理プロセス(物事が変化し進行して、そのような結果に達したなかでの道筋)をよく観察してみて、その理由もぜひ探ってみてくださいね。
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