中学生・高校生の友人関係による仲間はずれ~心理対処法~

昨今、ストレスによる要因で心に深い傷を負い絶望し、自ら死を選んでしまう中学生や高校生のお子さんが多く、その悩みの中でも、もっとも影響を与えていると思われる原因の1つに『友人関係』があげられています。中学生や高校生の時代では、とにかく集団生活に耐えるように強調され、クラスメイトや部活仲間とは仲良く協調性や団結力を重視されます。

思春期で多感な時期である中学生・高校生といった10代の学生生活の中で、急に思い当たる原因もなく、避けられたり聞こえるように悪口を言われたり、無視や仲間はずれをされ、陰湿な暴力をふるわれる、お金を請求されるといった小学校時代よりもいじめがエスカレートしてくることがあります。

早い段階で、友人関係について周囲に相談し対処法ができていれば大事には至らなかったという場合でも、お子さんが親には心配をかけたくない、家族に知られたら恥ずかしい、周囲に相談しにくい、何か弱みを握られているといった場合、理不尽ないじめに遭遇したときも、グッと我慢して、たった1人で辛い友人関係を心の中に抱え込み、精神的なダメージを受けながらも1人で立ち向かい解決策を模索するも対処法もなく、最後には命を落としてしまうということも珍しくありません。

 

仲間はずれは期限付き

友人関係の悩みの中でも、特に多いのが『仲間はずれ』にされるケースです。突然急に、理由も解らずに仲良しグループから省かれてしまい、クラスの中で1人、ポツンと孤独を感じてしまいます。突然に起きたことなので、心の準備すら整わず、どうしたらいいのか分からなくなってしまいます。

1人だけ取り残されたような気分に陥り、目の前が真っ暗になってしまったら1日1日が、とても長く感じて、永遠に未来も、この針のムシロ状態である地獄が続いてしまうのではないかと思い、不安で絶望してしまいがちですが、その日々は永遠には続きません。なぜなら学校生活には、『卒業』という期限付きがあり、いつか終わる日が来ます。そして、また新しい世界の入口が待っています。

 

10代である中学・高校生時代の友人関係は無意味

体育や昼食の時間といった、誰かと何かを組んでやるときに、仲良く付き合える人がいたら、なにかと学校生活を送るうえでは楽しいとは思いますが、あなたが人生を振り返ってみたとき、今でもその人たちと付き合っているでしょうか?友人関係は、人生のステージが上がるたびに変わるものです。そして、友達の顔色をみて場の空気をよみ合わせ、ストレスが溜まり振り回されるくらいなら、いっそのこと1人でいても楽しめる能力を身につけ自分の気持ちに素直に生きていくほうが大事だと思います。

 

お子さん自身の首を絞めることにもなる

大学生や社会人になれば、もっと今よりも世界が広がりますが、中学生・高校生という1つの狭い学校空間にいる間は、お子さんと気の合うお友達がいなくても当たり前です。なので、1人でいることが問題でも恥でもありません。

親御さんのあなたが心配しすぎて、おきている状況を回避しようしたり、他の同級生と比べて、むりやりお子さんに気が合わないお友達と一緒にいることを強要するのは、むしろそちらのほうが、よりお子さんを傷つけ追い込むことになってしまいます。お子さんをあなたの思い通りに動かしコントロールしたいのは、実は親御さんが無意識的に安心したいと思いやっている行為です。

みんなと仲良くしてほしいとか仲間はずれになってかわいそうではなくて、今おきている状況を見て、「気が合うお友達がいないなら無理して合わす必要はないよ!」と、お子さんに伝えてあげましょう。日本人は、なかなかノー(NO)と言えず、ノー(NO)と言うことに強い抵抗があるように感じますが、お子さんご自身にとって疲れるお付き合いの場合は、さらりとお断りできる勇気を身に着けることも大切です。

 

同級生とは対等である

仲間はずれは、ある日、突然におきるものです。そうなったとき、お子さんが、その仲間はずれをしたメンバーやグループに対して、気に入られたい、好かれたいがために機嫌をとり媚びはじめたら、ますます状況はひどくなります。お子さんに対して、危害を加えたり、ズカズカと心の領域を侵し入り込み、価値の低いものとして見下しおとしめる行為をするような人は、お友達でもなければ大事にする必要性もありません。

むしろ、そのような態度を示してきたら、同じような態度で臨むことを教育しましょう。無視をされたら無視をして、叩かれたら叩き返すくらいに護身術でも習いましょう。トラウマになりストレスで心の病に陥り悩むくらいなら、いじめてくる相手には容赦なく反撃しましょう。すると、相手はビビッて、お子さんを敬遠し手出ししてこなくなりますが、もしそれが難しい場合は、思い切って学校という狭い空間から逃げてしまいましょう。

 

心の居場所つくり

仲間はずれをされてしまうと、つい自分の悪いところやいけなかった原因を探してしまいます。原因探しを始めると脳の仕組みにより、それなりの理由が必ず見つかり、ますますその原因を作った自分を責め始めます。性格上で努力して直せる部分であり、お子さんがそうしたいと願うならば、そうすればいいのですが、身体的なものであったりした場合、お子さん自身の力ではどうすることもできません。

そうなった時、その原因を作った環境や親御さんに対して当たったり、世間に対して恨みを抱くようになります。そのような場合には、お子さんに寄り添って共感し、口や手を出さずに、不平不満をうんうんとよく聴き、ガス抜きをさせて心の安らぎを提供しましょう。また独自の個性をほめて認めて自信をつけてあげましょう。

お子さんは、いつどんなときでもお母様だけには信じてもらい味方でいて欲しいと思っています。「どんな時もあなたを必ず守る!!」という無条件の安心を一緒に与えて、あなたの愛情も伝えておきましょう。自信があれば、困難に立ち向かっていけます。お子さんに安心感を持たせ、乗り越える力を発揮できる環境をつくれるのは、そばにいる家族であり、それもお母様(お父様)の無条件の愛が一番なのです。

また教室以外で、たとえば、図書館や保健室といったお子さんの味方をしてくれる大人が見守り安心していられる居場所や学校から離れて、ホッとする場所があるといいですね。この時期は、学校関係者による人間関係が全ての世界観になりがちになってしまいますので、興味のある習い事や趣味をさせて少しでもストレス解消に繋がるようにしましょう。

 

罪悪感からの自分いじめ

近年は共働きの家庭が増え、お子さんとのコミュニケーション不足も指摘される家庭も少なくありませんが、心の病気になる方やその親御さんは、まじめで一生懸命に生きていらっしゃる方ばかりです。ゆえに、まわりの目や世間体を気にするあまりに、ご自身やお子さんに対して、厳しく神経質になりすぎて完璧を目指そうとします。

ほんの少しできなかったところや問題視するレベルではないのにダメだしをしてしまいます。欠点をみて、それに対して、ご自身で自分を無意識に繰り返し責めて攻撃してしまいます。こうなってしまった原因は、自分が悪かったのだと罪悪感をいだいてしまうこともあります。

100%完璧を求めると、たとえ99%できていたとしても、残りの1%に目を向けて、虫めがねで欠けている部分を拡大視するように見てしまい、細かい部分が大きく浮かびあがるためハードルは高くなり、どんどん大きく増えていき、そのように出来ない自分をご自身で責めてしまいます。これを『自分いじめ』といい無限ループに嵌まった状態にいます。

 

仲間はずれにあっている中学・高校生のあなたへ・・・気付いてください!!

自分いじめをしている間は、周りの言葉や態度や言動、ふるまいを見て感じて、自分勝手に決めつけや思い込みによる罪悪感を、あなた自身で大切なあなたに植えつけているようなものです。それゆえに本来なら、1番の味方であるはずのあなたが、あなたを責めることにより、ご自身で自分の首を絞めて、死にたくなるほどに辛く苦しくなってしまう状況を作り出していることに気付いてあげてください。自分いじめを始めてしまう原因探しはやめましょう。

原因を知ることは大切なことでもありますが、それよりも、もっと重要なことは対処法です。あなたが、あなた自身をいじめたら、より心身の状態が悪化していく最悪の状態になります。それを防ぎ乗り越える力をつけれるのは、あなた自身なのです。今あなたにできる小さなことを大切にしてください。

 

自分を肯定し、物事のとらえ方を変えてみよう

仲間はずれになって1人ぼっちになってしまった人、もしくは、1人で居ることが好きな人もいるでしょう。周りからみると変わっている、ひきこもりだと言われがちですが、「ひきこもれる」「1人で居ることができる」ということは、将来、1人で仕事が出来る才能をもっています。

今まで生きてきた中での自分の価値観でみてしまうと、見えてこない面がありますが、それすらも個性であり伸ばす長所の才能です。だから、お子さんがポジティブな気分になれるように、意識して肯定的な言葉掛けをしてあげてください。どこかに必ず才能や素晴らしい魅力があります。それをお母様が引き出してあげてください。そうしましたら、お子さんは、生まれてきた価値があると思えて自尊感情があがり、ご自身と向き合い乗り越える力がついて行きます。

 

あなたがあなたの味方である

世界の意識調査統計の質問で、『あなたは自分に価値があると思いますか?』『自分は優秀ですか?』『自分が好きですすか?』といった内容に対して、「YES!全くそうだ」と答えた割合の中で、7~8割台だった米中韓に比べて、自尊感情の低さが目立った日本は最下位になっています。日本の高校生の多くが「気分が晴れず憂鬱」で「自分に価値がない」と考えていることになります。

自分のことを愛せず嫌いなのは、どうしてだろうと考えたとき、日本の昔ながらの教育に関係があるように感じました。日本はわりと欠点を直すのが美学であり、欠点、欠点を直そう!というと、欠点だけを強く意識して焦点を当ててみてしまいます。

自尊感情をあげて、ありのままの自分を愛し好きになるには、欠点を直す文化ではなく、長所を伸ばすということに変えることが出来たら、もっと日本人は、自分が好きになり他人を愛することが出来るようになると思います。自分が嫌いなのに、他人を好きになることはできないですし、あなたがあなた自身を好きになれたら、仲間はずれで1人ぼっちになってしまったとしても、あなたがあなたの味方であり、あなた自身の世界を創っていけます。

 

まとめ

歳を重ねるごとに、人生には良いことも悪いこともあって、その時々で理不尽に感じること、イライラすること、悔しくて泣きたいこと、心身が疲れて弱りきって死にたくなる気分に襲われることが多々ありますが、それでも、マイナスだと思う出来事やネガティブな言葉でさえ、自分自身を肯定するように言い換えてみることができたら、起きた出来事は変わらないけれど、その意味付けが変わってきます。

そして、あなたが自分自身と向き合い乗り越える力がついたとき、今よりも、もっと素晴らしい人生がみえてきます。起きた出来事に対してポジティブ的に感じて、この出来事があったからこそと思えるように、いつか必ずそのような日が来ます。自分に起きることには全て意味があります。

今は、仲間はずれにあって、とっても辛くて切なくて悔しくて、どうして私が(僕が)こんなひどい仕打ちにあわなければならないのか?と悩み苦しみ恨み、その意味が分からなくても、長い人生を振り返ったとき、『仲間はずれ』をきっかけに、あの出来事が素敵な人生の生き方の練習の始まりだったと、とらえることができるよう心から応援しています。

 

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