赤ちゃんの人見知りは、いつからいつまでか?

生後まもなくの赤ちゃんの視覚は未発達で、視力は弱くあまり見えていない状態ですが、まったく見えていないわけではなく、「まぶしい」「暗い」といった明暗を認識することができるようです。また、赤ちゃんは生まれてすぐに、ママを自分のお母さん(守ってくれる人)だと認識して、他人と区別する能力が備わっているとも言われています。

そのなかで、色々な人と関わりを持ちながら発達して行く段階で、とつぜん急に、今まで誰にでも抱っこされるのが好きで、ニコニコと笑顔を振りまき、あやすとよく笑い、表情も機嫌もよいと思っていたのに、話し掛けられただけで赤ちゃんが大泣きしてしまう。そして、ママ以外の人を受けつけなくなり、育児に対して不安を感じたり戸惑ったりしたことはありませんか?それは、もしかしたら赤ちゃん特有の「人見知り」かもしれません。

赤ちゃんの人見知りは、いつから始まり、いつまで続くのか?

赤ちゃんの心と身体の発達には個人差やタイミングがあり、はっきりと、いつから始まり、いつまで続くのかというような区切りをつけることはできませんが、一般的には、だいたい生後6ヵ月くらいのおすわりの時期から始まることが多いようです。

なかには、もっと早くて、生後3ヶ月の首がすわり始め抱っこが楽になる頃から始まる赤ちゃんもいます。ただ、一般的にはなので、1歳を過ぎてから始まるケースや2歳くらいで再び始まることもあります。

そして、人見知りがいつまで続くかは、始まった時期にもよりますが、一般的に、人見知りは2~3歳頃に終わる子が多く落ち着いてきますが、「大体この頃には・・・」という目安ですので、よその赤ちゃんや兄弟姉妹と比べて、「この子は・・・」と、いたずらに不安になり焦ったり慌てないで、一時的なことなので、おおらかに、赤ちゃんの成長を見守ってあげて下さいね。

人見知りする赤ちゃんの心理について

国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)と東大大学院教授などの共同研究結果によりますと、赤ちゃんの「人見知り」行動は、相手に近づきたい(好奇心旺盛な接近行動)と怖いから離れたい(怖がり的な回避行動)が混ざり、両立できないために生じて、迷いが起きる心の葛藤の状態であることを発見しました。

さらには、相手の目に敏感に反応しつつ、視線をそらさずにジーッと相手を見つめ続けることや相手に見られ続けると目をそらしてしまい、また逆に、相手が目をそらすと、赤ちゃんは相手をよく観察しているような状態になり、快楽や苦痛の感情を受けいれる能力をもった情動的感受性を発揮した行動をしていることが示されました。(尚、この研究成果は、2013年6月5日(米国東部時間)発行のオンライン科学誌「PLOS ONE」に掲載されました。)

また最新の科学で解き明かした内容によりますと、人見知りが始まる前の赤ちゃんは、ママの顔しか見ないのに対して、人見知りをする赤ちゃんは、ママだけでなく知らない女性の顔も頻繁に見ていることがわかりました。

ごく未熟な脳の状態で生まれてくる赤ちゃんは、生後しばらくの間、ママやごく身近な人しか認識できませんが、発育とともに、脳が少しずつ発達すると、それ以外の人にも興味を持てるようになります。それと同時に始まるのが「人見知り」。ママ以外を嫌がっているのではなく、むしろ強い興味を示しているサインなのです。

赤ちゃんの人見知り、する?しない?

赤ちゃんの「人見知り」というと、ママ以外の人を見て、大泣きしてしまうことを想像する人が多いかもしれませんが、実は、それ以外にも人見知りをしている状態があります。

初めて会う人に対して、ニコニコと愛想を振りまき、はにかんだ表情を見せたり、預け先のキッズスペースで遊んでいると、ベビーシッターさんに懐いているように見えて、ママが「帰るよ!」と声を掛けても帰るのを嫌がり、ママ自身が嫌われているのかもと不安になってしまうことがありますが、実は最初に、赤ちゃん自身が、ぎこちない表情をしたり相手の顔をジーッと見つめるだけで、泣くことはしないケースがあります。

また、相手が近づいてきたときに目線をそらしたり、ママにしがみつきながらも服を強く握りしめたり、ママを目で追っていたり、抱っこされた時に笑わない状態になったりと、赤ちゃんが人見知りをしていることに気づかないケースがあります。このように、グッと泣くのを我慢しているような赤ちゃんもいます。

このような赤ちゃんは、親の愛情不足や成長していないのかというと、そうではなく、発育発達の面で「個人差」があり「個性」だということです。人見知りは、3歳くらいになってから始まる子もいれば、まったく人見知りをしないように見える子がいますが、人見知りの表現が強い子と弱い子がいるだけです。

強い子は、わかりやすく大泣きして、ママやパパにしがみつきますし、弱い子は、泣かないけれど、ジィーッと様子を見たりします。全ての赤ちゃんが、わかりやすく人見知りをするとは限りません。人見知りをしないと成長しない、というわけではないのです。

ママに対して赤ちゃんが人見知り!?

赤ちゃんと1対1で、オムツ替えから、ほぼすべての育児をしていて、赤ちゃんからみたら、1番近い存在であるママに対して、手をつなぐのが嫌で、ママが手を伸ばすと、ママの手を払いのけたり、機嫌が悪いと抱っこしても泣き止まず、または、抱っこさえも拒否されてしまい、いつも眉間にしわをよせてムスっとした難しい顔をして笑わない赤ちゃん。

「きちんとママだと認識されているのかな?」と心配になったり、他の家族に対しては、ニコニコと、ほほ笑むような仕草を見せているのに、丸1日中お世話しているママに対しては、なぜこんなに冷たい反応をされてしまうんだろうと悩んでしまうこともあります。

赤ちゃんから必要とされている実感がまったく湧かず、心が通じ合っていないのかなと寂しくも人見知りなのかな・・・と切なく、辛くなってしまうようなことがありますが実は、このように敏感に気付くのは、普段から赤ちゃんときちんと向き合っている証拠でもあります。

赤ちゃんの人見知りの状態は、個性ですので、ママが人見知りに対して、強い不安や緊張を感じていると、それが赤ちゃんにも、より影響を与えて気持ちを読み取り感じてしまいます。脳科学的にも、赤ちゃんの脳が、主たる養育者の脳との関係によって配線されている、ということまでわかっています。

よって、「混雑した公共の場で、赤ちゃんが泣いたらどうしよう」「知らない人にあって、赤ちゃんを抱っこさせて欲しいと言われたらどうしようか」など、ママが不安やイライラを感じていると、赤ちゃんにもその気持ちが伝染して不安になり泣いてしまうことがありますので、ママ自身が普段から、リラックスすることに意識を向けましょう。

自分の心や意識が、まだきちんと形つくられていない赤ちゃんの表情のお手本はママです。表情のない真顔なら、ママの顔の表情や心の中にある思いや感情である心情が真顔なのです。真顔なので、それがそのまま赤ちゃんに伝わって同調してるだけです。よって大切なことは、ママ自身が人見知りだから、赤ちゃんも遺伝で人見知りが激しくなってしまったんだ・・・と、ママが自分を責めて落ち込んでしまうことのないようにしてください。

赤ちゃんもママも、それぞれ個性があり他と比べることではありません。赤ちゃんは、自分がして欲しいことを求めて、しっかりと伝える力をもっている賢い子なのです。赤ちゃんは親御さんに、大切なことをたくさん教えてくれますので、いつも学ぶ姿勢でいましょう。

そして赤ちゃんと目があったら、ニコニコして、にっこり笑いかけてあげましょう。いつもお世話をしてくれているママは、赤ちゃんにとっては、特別な存在なのですから、愛情をもって接すれば必ず答えてくれると思います。つい、気になる点ばかりを探して目を向けるのではなく、出来ていたところ、良かった点を見ていきましょう。

赤ちゃんの人見知りは成長の証

人見知りは、ママとパパ以外の人を認識することで起こってきます。つまり、顔を認知できたと言う発達の証なのです。とはいえ、人見知りが激しいと困ってしまいますね。赤ちゃんは、泣く以外に訴える術を持たないため、自分の意思を伝えるために本能的に、たびたび強烈に泣くときもあります。

このとき、泣きやませる解決方法さえわかっていたら、泣いたとしても問題はありません。時期が来れば自然になくなりますが、ママとパパ以外にも色々な人と接する機会や環境を積極的につくっていきましょう。こうすることで、人見知りでの泣きから抜け出せます。

また、これまでの生理的欲求に加えて「甘えたい」「かまって」などの情緒的な泣きが突然、急に増えてきます。しかも、「気にいらない」「イヤ」などの怒りの感情まで入ってきますので、さらに泣き方が激しくなり、泣きだすと1時間ほど泣きやまないときもあります。

激しく泣いたり怒ったりするのは、情緒や知的な面が成長し感性が豊かになった証拠です。人見知りの状態になりましたら、「よしよし」と優しく受け止めてあげましょう。また、「こんなにも慕ってもらえるのは、今だけ…」と考えてみましょう。

人見知りが、いつまでも続くわけではないので、優しい言葉かけや温かいスキンシップなど赤ちゃんの要求に対して、きちんと耳を傾けてみましょう。泣いた時は、背中をトントンしたり、抱っこしたりして落ち着かせて、赤ちゃんの人見知りとも、うまく付き合っていきましょう。それが、人間的な豊かな心をはぐくむ基盤をつくることに繋がっていきます。

まとめ

人見知りが始まると、しばらくはママにべったりで疲れてしまうこともあるかもしれませんが、人見知りは赤ちゃんが精神的に成長してきている証拠だと前向きに捉えていきましょう。人見知りは、怖いけど興味があるため、人懐っこい赤ちゃんの方が、人見知りの行動が目立ってしまうかもしれません。この時、ママやパパの顔を見て喜ぶなら、ちゃんと区別はついていますので、我が子の成長を喜びましょう。

また毎日、接している親御さんだからこそ感じたり気付けることがあります。もし気になるようなことがありましたら、お近くの保健師さんに相談したり、ご家族内で話し合うことも大切ですね。そして、定期健診や育児支援センターに行った際に、気になることはすぐに尋ねて、必要に応じて診察を受けてみたらどうでしょうか。ママやパパが、ひとりで思い詰めてしまわずに、周囲の手も借りて楽しく育児をしていきましょう。

 

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